ロードバイクにおける軽量化神話、未だに根強いです。
ワタクシ自身も当然重いよりも軽いほうが良いと信じています。

しかしです。
3年も前にGCNはその核心に迫っていました。

Why Rotating Weight Doesn't Matter On Your Road Bike
(ロードバイクで回転重量が重要ではない理由)

GCN×SWISS SIDEの動画です。
※SWISS SIDE:元F1エンジニアの空力学のスペシャリスト

動画の内容をかなりざっくりと解説致します。
※英語力が非常に乏しいので間違っていたらごめんなさいm(_ _)m

▶動画の内容の概要
加減速の少ないタイムトライヤルにおいてはホイール重量がそこまで重要でないのはわかりやすいことだと思います。
しかし加減速を繰り返すクリテリウムでもホイールの重量による影響はほとんどなかったということです。

シュミレーションは2種類のホイールで行いました。
ライトウエイトの軽量ホイール1165gと同社空力に特化した62mmハイトのディープリムで1600gのホイール、400gの差で比べたシュミレーションです。

✓ヒルクライム
距離:9.44km
上昇:668m
平均勾配:7%
最大勾配:12%
※平均時速:18km/hで登ったとして
その差はというと、4.4秒だそうです。。。

✓クリテリウム(加減速を多く繰り返される)
平均速度40.2km/h
総重量を77kgとして計算
400の軽量化の影響は、1時間のレースでわずか0.7秒の節約なるということです。
400g重くなっても空力を良くすると20.5秒短縮できます。

なぜこのような結果になるのかというと、軽量ホイールの場合は回転を早く上げることはできますが、回転は早く落ちるということです。重いホイールは回転をさせるにはエネルギーが必要ですが、回転が落ちるのも遅いということです。つまりフライホイールのように、ホイールには回転させるためのエネルギーが蓄えられるということです。(慣性)

つまり重量よりもエアロを重視したほうが良い。というのがSwiss sideのシュミレーションによる結果ということです。
コメント数は2000までは届かないぐらいですが、すごい数です。
中には肯定的な意見もありますが、否定的な意見も。更にはあのハンビニ氏までも。。。

正直なところワタクシ自身はというと、、、経験上軽いほうが速いのだ!という印象が強いです。


▶個人的な経験
しかしです。
自分自身でもそう言われてみて、過去のライド記録を見返すと思うことがあります。というのも重量的にはそこまで有利ではないZONDAを使ったり、通常のクリンチャーよりも下手したら50gぐらい重いPanaracer AGILEST FASTを使ったりした際にも、確かに重さを感じるのですがタイムや平均速度はというと、、、あまり変わらないのです。※むしろAGILEST FASTはかなり速いです。

更には以前、超強豪トップアマチュアの選手も似たようなコメントをしていたのが記憶にあります。軽すぎるホイールは進まない。重量はそこまで重要ではない、と。

これらのお話もあってまずは体感!ということもあっての今回の実験です。


▶実験~平地~
とは言ってもです。軽いホイールに交換したときの軽さ、加速の鋭い感覚はしっかりと体にしみつています。はい、そうですかとそう簡単には信じられないのです。

実験はリアの重量を重くしました。
というのもフロントの重量増の影響よりリアのほうが明らかに違いがわかりやすいからです。

通常時はBARBIERI TPUチューブ、30gです。
今回は重量を増やすためにツールケースに入っている、84gのR-Airに交換しました。
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少々控えめな重量差ですが、その差は54gです。
ホイールやタイヤは同じものを使用していますので、純粋に重量の比較ができます。

交換後のTPUチューブは家においてあるので、通常時と比べて車体全体の重量としては、30gの軽量化です。その代わりツールケース内の84gがリム内部に移動したことになります。

リム外周の重量差としては54gの差があります。
たかが54g、されど54g!です。

まずは平地中心のコースです。
まったく同じコースではありませんが、似たような道を走りました。
上りはほとんど無く、かなり細かい微細な上りで基本平地コースです。
10%程度の瞬間的な短い上り、かなりパワーがでるゆるい上りもあります。
では実際にどうだったのかというと、、、
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パワーの差は7W、平均速度は変わらずです。

この結果をどう取るのかというと、ほとんど変わらないととっても良いのだと思います。
ちなみに気温、風向き等ほとんど同様の日です。
平均パワーはR-Airのほうが若干低かったです。

では特定の区間ではどうか?というところを見てみようと思います。
2つの区間は、双方Uターンがある往復区間ですので風の影響は片道よりも少ないかと思われます。

①
4.5km タイム パワー 平均値 タイム パワー
R-Air 6:40 333W TPU 6:50 311.3W
TPU 6:45 315W R-Air 6:48 326.5W
TPU 6:51 311W
TPU 6:56 308W
R-Air 6:56 320W
並べてみるとタイムはR-Airのほうが早く、パワーも高いです。
主観的な話にはなりますが、R-Airのほうがパワーがかけやすいと感じました。というのもおそらくペダリング技術の不足という原因も。。。

②
3.7km タイム パワー 平均値 タイム パワー
TPU 5:28 322W TPU 5:30 325.3W
TPU 5:29 338W R-Air 5:36 325.0W
TPU 5:32 311W
TPU 5:32 330W
R-Air 5:34 324W
R-Air 5:38 326W
しかしこちらのデータでは、TPUのほうが若干早いという結果でした。

データをどう読むか、これは難しいところだと思います。
区間を切り取ってみると軽量なTPUのほうが若干有利か、とも思われますが誤差と言えば誤差の範囲とも言えるぐらいの結果でした。そしてデータが少なすぎますので精度がかなり不安がありますが、平地では大きな差はないのでは?むしろ差はほぼないと言っても良いぐらい、というのが率直な感想でした。

✓平地を走ってみての主観的な話
確かに55g増量のR-Airは重いです。
55g程度の増量でも、走り出してすぐに分かります。

まず一番に感じたのは、漕ぎ出しの重さです。
わずか54gの差ですが明らかに重さを感じました。また重いが故に今までそのままのギアでも踏めていたところが一段落としたくなったりすることもありました。

しかしこの重さは悪いことばかりではありません。
一度回りだしてしまうと、重さはネガティブな影響だけではなく、ポジティブな影響もあります。

加速が終わると減速が少ない、ということです。
それは平地だけではなく上り、細かな起伏もそうですし、路面状況が悪いところ、そして風が強いときでも減速が少ないのです。
逆に重量が軽い場合は、加速は速いけれどもこういった回転が落ちるような抵抗があった際に減速が早い、ということは重量を重くしてみてあらためて感じたことです。
平地を主に走ってみた結果的には、、、確かに漕ぎ出しや加速で重さを感じますが、メリット・デメリットの双方があり悪いことばかりではない、というのが正直な感想でした。

▶体感すべく実験~上り~
上りを含めたロングの記録です。
ざっくりですが、120km 1100mUPのライド記録です。
そこまで長くはありませんが、ある程度のしっかりとした上りもあります。

正直なところワタクシ自身、流石に上りは軽いほうが速いと信じております。
原則パワーを揃えて、ということではなくかなり強度を高く、ほぼ全力状態で走った記録です。
主に信号等のない、上りの区間を切り取って比較してみようと思います。

①平地区間もあるゆるい上り
距離 2.3.km タイム パワー
平均勾配 2% R-Air 3:48 365W
上昇 51m TPU 3:51 351W
パワーが14W違いそのタイム差は3秒です。
これはやはり軽いほうが上りが速いのでは?と思いました。
しかし速かった、タイムが良かったのは重くなったはずのR-Airでした。
その差は上りの区間ではTPUはのほうが3秒早く、勾配がゆるくなってからR-Airが一気に追い上げ追い抜いた結果でした。

②数十秒程度の短い上り
距離 0.3km タイム パワー
平均勾配 8% R-Air 0:42 429W
上昇 26m TPU 0:46 408W
R-Air(重い)はパワーは21W高く4秒早い結果でした。
パワー差とタイムを考慮すると、ほぼ優位性を感じられない結果でした。

③勾配のきつい短い上り
距離 0.6km タイム パワー
平均勾配 7% R-Air 1:49 336W
上昇 47m TPU 1:42 341W
距離は短くとも、上ってみると平均勾配以上に結構きつく感じる上り区間で、ギアもロー付近まで落ちます。
しっかりとした上りですので、重いほうがタイムは悪いですが、パワーも低いです。
5W差で7秒、ここはしっかりと差がついてほしかったところなのですが。。。

④平地区間もあるそこまできつくない上り
距離 1.5km タイム パワー
平均勾配 5% R-Air 3:58 361W
上昇 86m TPU 3:52 355W
この結果をみて、やっぱり軽いほうが軽い!と感じました。
重い状態ではパワーは高いですが、やはりタイムが悪いです。
これはやはり!という結果だったのですが。。。

⑤一部下りもある上り
距離 3.5km タイム パワー
平均勾配 5% R-Air 9:14 308W
上昇 163m TPU 8:59 317W
走行ルート内で一番長い上りで、上りだけではなく下りもある区間です。
主観的には重さをそこまで感じませんでしたが、15秒差ともなるとやはり軽いほうが良いように思えます。
しかしパワー差もあり、判断が難しいところですがタイムが早いのはTPUでした。

⑥しっかりとした上り
距離 1.1km タイム パワー
平均勾配 6% R-Air 3:14 319W
上昇 70m TPU 3:13 327W
距離こそ短いものの、勾配も比較的一定で純粋な上りの区間です。
ここにきてまさかの大番狂わせの結果です。タイム差は1秒、ほぼ誤差の範囲かと思われます。
重いほうがパワーは低くともタイム差はほぼありませんでした。
特にR-Airのときに有利に風が吹いたりとかはなかったと記憶しております。
ただしです。この区間、路面の荒れが結構ある区間だった、ということは考慮するべきことかと思われます。

⑦ゆるい上り
距離 2.8km タイム パワー
平均勾配 2% R-Air 5:15 288W
上昇 52m TPU 5:13 295W
ダラダラとゆるい勾配が続く上りです。
そして2度目のまさかの結果です。
R-Airのほうが遅いですが、7Wの差で2秒です。(´ε`;)ウーン…


結果を見て。
自分でも驚きの結果でした。

なぜなら54gの増量でも明らかに重さを感じるようにはなりましたが、実際にこのようにパワーとタイムを比較してみると明確な差があるのかというと、、、100%その限りありませんでした。



▶複雑化する実走ならではの条件
当然実走ともなれば風向きや強さ等一定の条件ではありません。
特に短い区間の場合はその差は現れやすく、車が1台通ればそれだけで数秒なんて簡単に変わるぐらいの影響がある場合もありますし、走行ライン上のギャップを1つ2つ踏んだり、路面の荒れたラインを走ればそれだけでまた数秒なんて簡単に変わることもざらにあります。
データを取るために鹿野山で40本ぐらいデータをとっても一貫性のあるデータとはならなかったのは、条件の問題なのか機材の問題なのかは不明でした。
ですので1本や2本で信憑性のあるデータとは、、、正直厳しいです。

それでも基本的には上り、ヒルクライムという状況下においてもすべての上りで優位となる結果とはならないだけではなく、むしろ逆転する結果もありました。
これらの結果から、今回は50g程度の重量の増加ですが、やはり重量増の影響はそこまで大きくないのかもしれない、というのが今回の結果でした。


▶まとめ
圧倒的な軽さを誇るTPUチューブはどう考えても漕ぎ出し一発目は軽く、パリッとした乗り心地です。一方のR-Airはというと、激軽のTPUと比べれば漕ぎ出しや加速で若干の重さを感じることはありますが、一度回ってしまえば減速がとにかく少ないこと、そして乗り心地はTPUと比べても良いと感じます。
体感的にはやはりTPUの軽さは楽しく感じますが、R-Airはその乗り心地の良さから荒れた路面でもパワーを出しやすい印象でした。
今回の実験では、上りも含めて軽いほうが絶対に有利なのかというと、100%その限りではなかったというのが結果から見えてきたことでした。

最近の研究では上りでも重量よりもエアロを意識をした方が良い、というお話もあります。
重量というのは数値を簡単に、そして正確に見ることができます。また体感的な話でもリム周りの重量が軽くなることで、漕ぎ出し一発目の軽さ、また加速中の軽さは十分に体感することができます。
これらの話に加えて心の力の偉大さたるや、ということもあり長年にわたって、そして未だに軽量化を重視されているのだと思われます。
海の向こう側の掲示板やコメント欄を見ていても、いまだ2極化の一途をだどっているのもまた事実です。

しかしです。
心のパワーの強さはどんな機材にも勝る場合があるぐらい、かなり強力なものです。限界を超えることができる瞬間は他人と競うレースや新機材導入時が多いです。
ですので結局のところ自分の信じるもの、自分が最高だと思う機材を疑いのない心で使用する、これに尽きます。

ということで今回は軽量化神話の終焉!? リム重量差の影響を実験した話、でした。

とは言ってもです。
では重量を気にせずに富士ヒルに望むのか?ということを考えれば、やはり少しでも軽いほうが良いと思ってしまうのも、ジレンマ的なお話なのかもしれません。。。(笑)

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