WINSPACEのエアロロード「T1600 ULTRA」を、メーカーからお借りする機会がありました。

T1600 ULTRAは、その名前の通り従来のT1600をベースに、さらに空力性能を追求したエアロロードです。

従来のT1600も、D-Type Intakeや特徴的なヘッドチューブ形状など、かなり空力を意識したフレームでした。

T1600 ULTRAでは、超薄型のヘッドチューブ、ワイドスタンス・エアロフォーク、非常に薄いエアロシートポストなどを採用。メーカー自身もT1600のレーシングDNAを引き継ぎながら、空力性能をさらに追求したモデルとして位置付けています。

またメーカーから伺った話では、ライダーを乗せた状態での風洞実験でもかなり良い結果が出ているとのこと。

つまりT1600 ULTRAは、単に見た目がエアロなロードバイクではなく、純粋に空力性能を追求して作られたエアロロードということになります。

では実際に走らせると、どんなバイクなのでしょうか。

私自身は現在、同じWINSPACEのSLC5をレースを含めてのメインバイクとして使用しています。

またM6についても長期間使用しており、富士ヒルではM6に乗って自身初となるゴールドを達成しました。

今回はT1600 ULTRA単体のインプレだけではなく、普段乗っているSLC5、そしてこれまで乗ってきたM6との違いも交えながら、実際に走って感じたことを書いていきたいと思います。
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 ▶今回のT1600 ULTRAと普段のSLC5

まず、今回お借りしたT1600 ULTRAの仕様です。

メインコンポーネントはSHIMANO ULTEGRAで、一部にDURA-ACEを使用。

ハンドルはHYPER 2.0 ライザーハンドルバー、ホイールはHYPER 5 D50(リムハイト50mm)、タイヤはS-Light TLRという構成です。

こちらです。
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T1600からの大きな変更点といえばまず特徴的なフロント周りです。

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かなりワイドに広がったフロントフォークです。

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D-Type Intakeは健在。

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エアロシートポストはDi2バッテリーも入らない薄さです。

比較対象となる普段のSLC5と並べると、おおよそ次のようになります。

T1600 ULTRA SLC5
コンポーネント ULTEGRA ULTEGRA
ハンドル HYPER 2.0 ライザー HYPER
ホイール HYPER 5 D50 HYPER Light
タイヤ S-Light TLR GOODYEAR Eagle F1 RS
重量 約7.2kg 約6.9kg
重量条件 ペダルなし ペダルなし

T1600 ULTRAの実測重量は、ペダルなしで約7.2kg。

SLC5は同じくペダルなしで約6.9kgなので、今回の仕様では約300gの差があります。

もちろんT1600 ULTRAは純粋な軽量ロードほど軽いわけではありませんが、50mmハイトのHYPER 5 D50を装着したエアロロードとして考えれば、十分に軽量です。

また今回は、できるだけ普段のSLC5に乗っているときと近い状態で比較するため、T1600 ULTRAにもボトルケージを取り付け、ツールバッグやライト類なども装着して走りました。

試乗車だからといって余計な物のない軽量な状態で比較するのではなく、実際に自分が普段ロードバイクに乗っている状態へできるだけ近付けています。

ただし、表を見ても分かる通り、ホイールやタイヤ、ハンドルなどは完全に同じ条件ではありません。

今回はフレーム単体の純粋な違いを比較するのではなく、T1600 ULTRAというバイクのトータルパッケージとしての印象を評価しようと考えました。

普段からSLC5に乗り、M6も長期間使用してきた中でT1600 ULTRAへ乗り換えてみると、3台それぞれのキャラクターの違いはかなりはっきりと感じることができました。

では、実際の走りはどうだったのか。
ここからT1600 ULTRAのインプレに入っていきます。


 ▶T1600 ULTRA インプレッション!

私はこれまでさまざまなロードバイクのインプレを書いてきましたが、その中で特に大切にしているのが、最初に乗った瞬間の印象です。

クリートをはめたときの感覚、最初に踏み込んだときの反応、そこからの加速や巡航、ブレーキングからコーナリングへ入ったときの動き。

こうした最初の一連の動きから感じる印象を、私はかなり重視しています。

なぜなら、この段階では身体がまだそのバイクにまったく慣れていません。

そしてこれまでの経験上、最初に感じた印象が、その後乗り込んむことで大きく変わることはほとんどありませんでした。

慣れや思い込み、「こうであってほしい」という願望などが入り込む前の状態だからこそ、普段乗っているバイクとの純粋な違いを感じ取りやすいと考えています。


①クリートをはめた瞬間から分かる剛性感

最初にT1600 ULTRAへ乗って感じたのは、かなりしっかりとした車体の剛性感です。

クリートをはめた瞬間に伝わる音や車体の動きから、「これはかなり硬いバイクだな」という印象を持ちました。
変にたわんだり、入力が曖昧になる感じがない。パリッとした、非常に硬質な感覚です。

そして、そのまま一踏み、二踏みと加速していきます。

まず感じたのは、実際の重量以上に車体が軽く感じられ、しっかり前へ進むこと。

これは推測になりますが、高い剛性感と入力に対する反応の速さが、漕ぎ出しの軽さとして感じられているのではないかと思います。

そして、やはり剛性感はかなり高いです。
しかし、その硬さは踏んだ力がそのまま前進へつながっていく感覚が強く、単に「硬い」という嫌な方向ではありません。

しっかりと走りにつながる硬さです。

剛性感が低めのバイクでは、入力の仕方によって一瞬反応が曖昧になったり、加速に少し淀みを感じることがあります。

T1600 ULTRAにはそれがほとんどなく、入力に対してバイクが素直に反応し、そのまま前へ進んでいきます。

WINSPACEのバイクは基本的にこの感覚が非常に良く、これこそ数あるロードバイクの中から、私がWINSPACEを長年使い続けている理由の一つでもあります。

ただし、以前乗ったことのある高剛性なバイクで感じたような、「硬さそのものが先に気になってしまう」感覚とは少し違います。

T1600 ULTRAは硬いですが、その硬さがきちんと速さにつながっていると、最初の数踏みで、そんな印象を持ちました。


②中速域からの伸びと安定感

20〜30km/h程度まで加速していくと、今度はT1600 ULTRAのもう一つの特徴がはっきりと見えてきます。

M6に乗ったときにも感じることのできた空力性能の高さです。
それはT1600 ULTRAでも、間違いなく感じられた部分です。

今回は、最近ではめっきり見ることのなくなっていた走行速度を、あえてサイクルコンピューターに表示して走ってみました。

まず30km/hから40km/h。
力んで速度を押し上げていくというより、「いつの間にか40km/hになっている」と感じるほどスムーズに速度が上がっていきます。

さらに40km/hを超え、50km/h付近まで速度を上げていっても、途中で急に抵抗が増えるような感覚がありません。
速度が上がるにつれて壁が現れるような感じが少なく、そのままスッと伸びていきます。

この部分は、まさにエアロロードらしいところです。

そして速度が上がっていくほど、エアロロードらしい「前へ前へと進んでいく」感覚も強くなっていきます。

直進安定性は非常に高く、高速域でも車体が落ち着いているため、速度が上がっても怖さを感じにくい。

単純にスピードが伸びるだけではなく、その速度を安心して維持しやすいところもT1600 ULTRAの大きな特徴だと感じました。

この安定感は直線だけのものではなく、コーナーへ入っていったときにもかなりしっかりと残っています。

コーナリングについては後ほど詳しく書きますが、直進安定性の高いエアロロードだからといって曲がりにくいわけではありません。

SLC5と比べると、SLC5のほうが若干ピーキーというか、ライダーの入力に対する反応がより鋭い印象です。

一方、M6はさらに穏やかで扱いやすい印象です。

その中でT1600 ULTRAは、感覚的にはM6とSLC5の中間あたり。高い安定感を持ちながら、必要なときにはしっかり反応してくれるバランスです。

強く踏んだ一発の瞬発力だけを比較するなら、個人的にはSLC5のほうがさらに鋭く感じます。

今回の完成車重量には約300gの差がありますが、この瞬発力の違いを重量差だけで説明できるとは考えていません。

SLC5は踏んだ瞬間、あるいはダンシングへ移った瞬間の反応が非常に速く、一瞬で速度を変えるような鋭さがあります。

一方のT1600 ULTRAも、踏んだ瞬間の反応は十分に速いです。
しかし、それ以上に印象的なのが、その反応の先にある速度の伸びです。

SLC5が「瞬発力」なら、T1600 ULTRAは「伸び」。
かなり単純化した表現ですが、実際に2台を乗り比べると、この違いが非常に分かりやすく感じられました。


③重量以上の軽さ

T1600 ULTRAはエアロロードなので、見た目からするとどうしても「平坦向け」というイメージを持ちやすいと思います。

しかし実際に走ってみると、7.2kgという重量以上に車体がどうにも軽く感じられます。
これは平坦での漕ぎ出しや加速だけではなく、登りでも同様です。
登坂で速度が落ちても車体の重さを強く感じることはなく、踏み込めば素直に前へ進んでいきます。

純粋な軽量ロードのような、車体そのものが軽いことによる軽快感とは少し違います。

これは推測になりますが、高い剛性感と入力に対する反応の速さによって、実際の重量以上に軽く感じられているのではないかと思います。

また、車体の重量配分や重心位置なども、この軽快感に影響しているのかもしれません。

そして、この軽さはダンシングでも感じます。
エアロロードの中には、ダンシングで車体を左右へ振ったとき、少し鈍さや重たさを感じるバイクもあります。
フレーム形状や重量配分、横方向の剛性など、さまざまな要素が関係していると思いますが、T1600 ULTRAではそうした重たさをほとんど感じません。

T1600 ULTRAは直進時の安定感がかなり強く、このあたりはいかにもエアロロードらしい長所です。

そのため、最初はダンシングでも少し重厚な動きになるのかと思っていました。

しかし実際には、左右への車体の振りも十分に軽いです。
エアロロードらしい安定感を残しながら、想像以上に軽快に車体を振ることができます。

しかも、ただ振りが軽いだけではありません。
踏み込んだ力に対する反応も速く、ダンシングでもしっかりと前へ進んでいきます。

ただし、この部分をSLC5と比較すると、個人的にはSLC5のほうがさらに好みです。
SLC5は車体を振った瞬間の軽さと、一瞬で前へ飛び出すような瞬発的な反応が非常に強いです。

一方のT1600 ULTRAも十分以上に反応は速いのですが、瞬発的な軽さではSLC5、高速域へつながっていく伸びではT1600 ULTRAという違いを感じます。

それでも、エアロロードという見た目から想像するような重たさはほとんどありません。

漕ぎ出し、登り、ダンシング。
どの場面でも実際の重量以上に軽く感じられるのも、T1600 ULTRAの大きな特徴だと思います。


④コーナリング性能

そして予想以上によかったのがコーナリングです。

T1600 ULTRAはエアロロードらしく、前へ前へと進んでいくような感覚と、直進時の高い安定感を持ったバイクです。

しかし、その安定感がコーナーでの曲がりにくさにつながっているわけではありません。
車体を倒していけば自然に旋回していき、素直に狙ったラインへ入っていきます。

この感覚はM6にも近いところがあります。

M6よりは若干クイックに感じる場面もありますが、神経質というほどではなく、非常に扱いやすい範囲です。

SLC5と比較すると、SLC5のほうがわずかにセンシティブなイメージです。

T1600 ULTRAは、それよりも安定感を強く残したまま、自然に曲がっていく印象があります。

そしてコーナー出口から踏み始めたときも、思った方向へそのまま車体が進んでいきます。
これはT1600 ULTRAだけではなく、これまで乗ってきたWINSPACEのバイクに共通して感じる部分でもあります。

「ライダーがこう動かしたい」と思ったときに、車体の動きとのズレが少なく、曲がり始めから立ち上がりまで、こちらの入力に対して素直に動いてくれます。
この素直さは、WINSPACEのバイクが乗りやすく感じる理由の一つだと思っています。


⑤乗り心地

剛性感の高いエアロロードと聞くと、乗り心地について不安を感じる方もいると思います。
しかしT1600 ULTRAの乗り心地は、かなり良好です。

サドルの違いによる影響もあるかもしれませんが、路面の細かなザラつきや舗装から伝わる微振動は比較的少なく、角のある衝撃や大きめの突き上げもかなりマイルドです。

硬いフレームだからといって、路面からの衝撃がそのまま身体へ伝わってくるような感覚はありません。
車体が細かく跳ねる感じも少なく、タイヤが路面をしっかり捉えている印象があります。

今回装着されていたS-Light TLRも、こうした乗り心地には良い仕事をしているのだと思います。

T1600 ULTRAは非常に薄い形状のシートポストを採用しています。

この形状も乗り心地に寄与している可能性はあると思いますが、どこまでがフレーム、シートポスト、タイヤそれぞれの影響なのかは切り分けられません。

ただ、今回実走した印象としては、
「路面状況はしっかり分かる。しかし、強い突き上げは柔らかく処理してくれる」
そんなバランスです。

今回のT1600 ULTRA、普段使用しているSLC5ともにチューブレス環境なので、その点でも比較しやすい条件でした。


⑥横風の影響

一方で、エアロロードらしい特徴がはっきり出るのが横風です。
横風の影響については、SLC5よりも明確に受けます。

ただし、突然ハンドルを持っていかれるような怖さではありません。
個人的な感覚としては、ハンドルだけが急に取られるというより、車体全体が横方向へ「ぬるり」と押されるような感じです。
もちろん風が強ければSLC5に比べて注意は必要ですが、通常の横風であれば過度に神経質になるほどではないと思います。

ただし今回、T1600 ULTRAはHYPER 5 D50、SLC5はHYPER Lightとホイール条件も異なります。そのため、この横風に対する違いをフレームだけの差として考えることはできません。

その一方で、風向きによっては車体が前へ運ばれるような、いわゆる帆走効果を思わせる感覚が出る瞬間もありました。

もちろんこれは実走で感じた感覚的なものですが、速度が乗った状態では、風をうまく使って前へ進んでいるように感じる瞬間があります。

高速域で走っているときには、「さすが純粋なエアロロード!」と感じる場面の一つでした。


▶M6、SLC5、T1600 ULTRAの違い

WINSPACEにはM6、SLC5、そして今回のT1600 ULTRAと、それぞれかなり性格の異なるロードバイクがあります。
実際に乗ってみると、この3台は単純な上下関係で比べるバイクではないと感じます。

M6は非常に扱いやすいバイクです。
踏み心地そのものが柔らかいという性質ではなく、ライダー側の入力に対する許容範囲が広い。
高ケイデンスでも低ケイデンスでも走りやすく、疲れてペダリングが多少乱れても、大きく性格が変わりません。
純粋にロードバイクを楽しむことまで含めて考えるなら、大多数の人にはM6のほうが幸せになれるのではないかと思うほど、扱いやすさと速さのバランスに優れたバイクです。


一方SLC5は、とにかくレーシングバイクとしての総合力が高いです。
登り、加速、ダンシング、コーナリング、高速巡航。
すべてが非常に高いレベルでまとまっています。
特にレースでのここ一番、絶対に離されたくない瞬間の反応性が抜群に良いです。

登りそのものだけではなく、登り切った直後のアタックや、コーナー立ち上がりからの加速、集団の速度が一気に上がった瞬間など、ライダーが「今ここで反応したい」と思ったときに、即座についてきてくれる感覚があります。

今回T1600 ULTRAに乗ったことで、改めてSLC5の総合的なポテンシャルの高さ、そして1台のレーシングバイクとしての完成度の高さも感じました。


そしてT1600 ULTRA。

こちらは、空力性能に優れたM6の単純な上位モデルというわけではありません。
方向性そのものが違います。

M6よりも明確にレーシング志向が強く、大きな入力に対する反応が速く、そのまま高速域へつなげていく感覚に優れていると感じます。
特に高速域での反応と、その先の伸びこそ、T1600 ULTRAの大きな武器です。

速度が上がるほど、このバイクの良さがよりはっきりと見えてきます。
そのため、絶対的なパワーが高いライダーほど、このフレームの良さをより引き出しやすい可能性はあると思います。

ただし、これは今回の実走から感じた私自身の印象です。

体重が重いからT1600 ULTRA、軽いからSLC5といった単純な話ではなく、どのような走り方をするのか、どの速度域や性能を重視するのかによって評価は変わってくると思います。


✓結局どれが一番いいのか?

M6、SLC5、T1600 ULTRA。では、この3台の中でどれが一番良いのか。

個人的には、そもそも一番を決める必要はないと思っています。
M6には圧倒的な扱いやすさがあります。

SLC5には瞬発力と、レーシングバイクとして非常に高い総合性能があります。

T1600 ULTRAには、高速域での伸びと、エアロロードらしい高い安定感があります。

それぞれ得意とする部分が違い、どれを選んでも明確な魅力があります。

結局は、どのバイクが優れているかというより、
自分がロードバイクにどんな性能を求めているのか。  
どんな場面で速く走りたいのか。  
そして、どんな乗り味を気持ちいいと感じるのか。

そこが選択の基準になると思います。


 ▶まとめ

今回T1600 ULTRAに乗って最も強く感じたのは、非常に完成度の高い「エアロロードの最前線」という印象です。

基本的にはかなり剛性感の高いエアロロードです。
しかし、その硬さが嫌な方向へ出ることは少なく、クセも少ない。
速さをしっかり持ちながら、非常に自然に扱えるバイクだと感じました。
低速域から軽快で、登りでも実際の重量以上に軽く感じます。

そして速度が上がれば、エアロロードならではの前へ前へと進んでいくような高い直進安定性がありながら、コーナリングではクセもなく非常に自然に曲がっていく。
エアロロードとしての高速性能をしっかり持ちながら、それ以外の部分にも大きな穴がありません。

今回の試乗車はメーカーからお借りした車体です。

さすがに自分のバイクのように限界まで追い込んだり、荒れた路面のコーナーを攻めたりするようなテストまでは行っていません。

ただ、通常の実走でバイクの性格を確認するには、十分な距離を走ることができたと思います。

現時点でT1600 ULTRAを一言で表すなら、
「速い。それなのに、普通に乗りやすいエアロロード」
そんな印象です。

近年のエアロロードは、以前のような「速いけれど重い」「空力は良いけれど扱いにクセがある」といったバイクは、かなり少なくなってきたように思います。

そのため現在では、単純に風洞実験で空力性能が高ければそれでよい、というものではありません。

空力性能が高いことは前提。そのうえで重量、剛性バランス、乗り心地、ハンドリング、登りや加速といった部分まで、どれだけ高いレベルでまとめられているのか。

エアロロードに求められる性能そのものが、以前よりかなり高くなっているのだと思います。

そう考えるとT1600 ULTRAは、まさに現在のエアロロードらしい一台です。

空力性能だけに特化するのではなく、高い剛性感、軽快な反応、自然なコーナリング、そして乗りやすさまでバランスよくまとめられている。

T1600 ULTRA。さすがWINSPACEのバイクだと思わせる、完成度の高いエアロロードでした。




今回のT1600 ULTRAの印象には、当然ながら試乗車のアッセンブルも影響していると思います。

今回装着されていたホイールは、50mmハイトのHYPER 5 D50。
T1600 ULTRAの軽快な漕ぎ出しや扱いやすさを感じるには、非常にバランスの良い組み合わせだったと思います。

試乗車という性格を考えても、高速域だけに振り切るのではなく、さまざまな速度域で乗りやすさを感じてもらうという意味では、50mmという選択は非常に分かりやすい構成なのかもしれません。

ただ、個人的には少し欲も出ました。

これだけ高速域での伸びが気持ちいいT1600 ULTRAなら、60mmクラスのホイールを装着して、さらにエアロロードらしい高速性能を強調した仕様でも乗ってみたかった。

漕ぎ出しや加減速では50mmの軽快さが魅力ですが、40km/hを超えてからの伸びや高速巡航をさらに楽しむのであれば、60mmハイトとの組み合わせもかなり面白そうです。

今回のT1600 ULTRAは十分以上に速かったです。

それでも乗り終えたあとに、「もっと高速域へ振った仕様でも乗ってみたい」と、このバイクの高速性能にはまだ先があるように感じました。
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